VOL.2 不便な物

今時、スマホがあれば世界中と繋がれるし、カメラのスマホである程度、満足できる写真(?)は撮れる。
時計だって世界6局から標準時間をキャッチして正確な時刻を表示する。しかもソーラーバッテリーだからほぼ、電池切れの心配なし。
GPSを搭載して現在位置がわかってメールも受信可能。
2万円あれば購入可能だし。。。
車が飛んでいない以外はほぼSFそのものの現代で我々、Several Dialsはワザワザ不便なゼンマイ時計を中心に販売しています。
現行品ではない古い時計には色々と制約があり例えば、
一日、一回、ゼンマイを巻かなきゃ時間が狂うし止まるし、季節、気温で精度も左右される、時計によっては
『夏は汗かくからNGね』『自転車は振動あるししちゃダメ』『時計してる手首に香水はヤメテ。。。』『梅雨時季は湿気あるし家に置いといて』
と、兎に角気を使います。
僕も含め、なんでこんな不便極まりない物を身に着けるのでしょうか。
いまだにわかりません。
だって良いんだもん。
皆様、中の機械が良かったり、文字盤、ケースのヤレ具合が良かったり、状態がすこぶる良かったり、ずっと探してた、イロイロな理由を付けて不便な時計を買います。
そんで、ゼンマイをコリコリ巻いてニンマリする。サイコーですね。
朝、天気予報を見ながらコーヒー飲んでゼンマイを巻いて時刻をセットして家を出る。これはゼンマイ時計を買った人が必ずやる行動です。
自動巻のゼンマイ時計を買った人は手首を軽く振ってその振動を感じたりします。
そして、時計を耳に当てて時計の音を聞いてまたニンマリする。
現行品でもゼンマイの時計はありますが、古いゼンマイ時計とは音が違うのです。
現行品は当然、生まれたてなので元気で澄んだ音がします。一方、古い時計はコチコチと不安定ながら力強い音がします。
このコチコチ音が圧倒的に違うのです。
コチコチ音が良いからという理由でこんな不便な時計を着けてる訳ではないのですがとてつもなく愛くるしい。
出勤する時、電車の時刻を確認する時、時計を見ます。
腹減ったな〜。と昼頃、時計を見ます。
そろそろ帰るか。と時計を見ます。
デートの最中だって時計を見ます。
時計を見るついでに時刻も確認します。
そして、『ちゃんと動いてるな』と左手の相棒の調子を確認するのです。
手の掛かる子ほど可愛い。とはよく言ったものです。
そりゃ動いてて当たり前なんですが、そこは古い時計なんで、ある日突然、調子が悪くなったりするんです。
毎日、着けてれば良いモンじゃなくてたまには休ませる事も大事です。
調子が悪くなったら、相談して下さい。
すぐに対応しますから。
古い時計には向き不向きがあり、古い時計が好きな人はまだ古い時計を使った事のない人とはちょっとした時間の見方が違うんです。
不自由な制限の中、古い時計を眺め、不安定な時間経過を楽しんでいるんです。
出来れば古い時計を使った事の無い人にこの変な感覚を分かち合いたいと思っております。
恐ろしく便利な世の中なんで不便な時計の良さを。